観測ノート・2002

2002 Jan. 03

年末から年始にかけて大きな月が居座っているので夕方の観測が多くなる。薄着のまま観測を始め、つい長引いたりした結果、風邪気味である。

今夜は月の影響なし。

51P/Harrington

z    : 35
exp. :120, 180 sec

測定に耐える明瞭な像は得られなかった。

撮影中にトラブル発生。冷却水が漏れるため修理に出している間の代替品(同じく AP-7p の空冷仕様)を 12 月 15 日より使っている。トラブルはシャッターが開かない、というもの。大急ぎでカメラをバラしてみると、シャッターが閉じたときにクッションとなるバネに巻かれているビニールチューブがズレていた。細い棒を使ってビニールチューブを軽く動かすと無事シャッターが開くようになった。困ったモンだ。

116P/Wild 4

ゴミのような小さい像がゆっくり動いている。

z    : 35
exp. : 120 sec
mag. : 16.8 T
coma : 0.3'
DC   : 5

61P/Shajn-Schaldach

17 等級より明るい移動天体を認めない。

z    : 20
exp. : 120 sec

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2002 Jan. 05

アポロタイプの小惑星が地球に 0.006 A.U. まで大接近し、1 秒間に角度の 8" を動くという。そんなもの観測できるわけがない。と思っていたが、調べてみると大接近の少し前までしか観測できないようで、変に安心。昨日は雨、今日も夕方まで降っていた雨はあがり、観測できた。

2001 YB5

まだ暗く、速度も遅いので 20 秒露光を用いる。最接近は 24 時間以上先である。とはいえ、先日の 1998 WT24 もそうだったが、地球に異常接近する小惑星の光度・速度変化には驚くべきものがある。また、地球の摂動を受けて軌道が刻々と変化するため、CCD の狭い写野に捕らえる際や、測定時にも随分苦労するものである。

21:40 から 22:50 までの観測を測定・報告し、これから南中にさしかかるのでインターバルを開けようと夜半過ぎにまた観測する。二度目の観測を終えたときには改良軌道が送られてきていて、測定が随分楽だった。

夜半前の観測では写野が嫌に淋しいなと思っていたら、フラットを取得する際に気づいた。V フィルターをかけたつもりが B になっていたのである。夜半過ぎの観測ではフィルターを間違えずに撮影した。

exp. : 20 sec
mag. : 14.3 B - 13.5 V

休み中であるし、珍しく晴れたので観測を続ける。

65P/Gunn

獅子座βの近傍にあり、強烈なブルーミングの影響を受けている。尾が見えるが、これは本物だろうか?月も上がってきて邪魔をする。

z    : 20
exp. : 120 sec
mag. : 15.6 T
coma : 0.4'
DC   : 5
Tail : 1.0' p.a. 295

77P/Longmore

写ったが、大変暗い。測定値にバラツキが大きい。

z    : 5
exp. : 120 sec
mag. : 17.3 T
coma : 0.3'
DC   : 4

7P/Pons-Winnecke

予報どおりの光度なら写るはずなのだが、17 等より明るい移動天体を認めず。

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2002 Jan. 06

昨夜、徹夜したため体調が悪い。アポロが最接近間際なので、これだけでも。

2001 YB5

昨夜と比べ、驚くほど明るく、速くなっている。今夜は 4 秒露光を用いたがそれでも少し流れて写る。180 秒露光もやってみた。非常に長い線状に写っているが、ところどころカーブしているのはピリオディックモーションの為だろう。この画像からピリオディックモーションの値が測定できるかもしれない。

z    : 55
exp. : 4, 180 sec
mag. : 12.6 V

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2002 Jan. 08

月齢 25。早い時刻なら影響を受けない。

51P/Harrington

シンチレーションの影響を受けているのか、120、180 秒露光で写るのだがイメージが悪い。17 等後半だろう。測定できず。

44P/Reinmuth 2

なんとか測定にかかる光度であった。

z    : 30
exp. : 180 sec
mag. : 17.0 T
coma : 0.4'
DC   : 5

116P/Wild 4

これまた暗いが、なんとか測定にかかる光度であった。

z    : 25
exp. : 180 sec
mag. : 16.5 T
coma : 0.4'
DC   : 5

フラットフレームを撮影中、またシャッターの挙動がおかしくなってきた。先日の応急修理だけではダメか?ヒマを見てもう一度バラし、再修理せねば。観測中にトラブルが発生してはたまらない。昭和機械に文句を言っておこう。

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2002 Jan. 13

天気が悪いので、ドーム内でフラットフレームを取得していたら夜半頃から晴れてきた。ただし、黄砂が降ったように透明度は最悪である。ノーフィルター・180 秒露光ではバックがかぶってしまうため、全部赤外バンドにした。

44P/Reinmuth 2

やはり悪透明度のせいか、イメージ不良で測定せず。

116P/Wild 4

暗い彗星にフィルターをかけた光度観測がうまくいった試しはないが、折角なので Landolt 比較星野も撮影しておいた。以下の観測は赤外光度であり、ノーフィルター光度だと 16.0 T くらいになるはず。

z    : 10
exp. : 180 sec
mag. : 15.3 T
coma : 0.4'
DC   : 5/

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2002 Jan. 19

P/2001 R1 (LONEOS)

観測数が少ないというこの彗星を狙うが暗いためイメージが悪い。おまけに曇ってきて観測中止。測定せず。

116P/Wild 4

天頂に近いこの彗星をよく観測している。V、I バンドで撮影し、Landolt 比較星野も撮影する。位置だけ測定し、面倒な光度測定は後回し。

44P/Reinmuth 2

ずいぶん暗いのか、写らない。画像を調べると小惑星らしき像が移動している。位置を測定し、新天体として報告する書式を作ってから改めて画像を調べるとどうやらホットピクセルらしい。こんなややこしいホットピクセルは見たことがない。報告を中止する。

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2002 Jan. 27

15P/Finlay

今回帰の初観測である。西空に低く、薄雲に邪魔をされて明瞭な画像は 3 枚しか得られなかった。測定、報告する。

透明度は良かったが、地平線付近に薄雲があった。地平高度 10 度以下の 15 等級は難しい。

C/2002 A3 (LINEAR)

最近発見された彗星だそうだが、冬の銀河内にいて探しにくい。未だに見つからない。

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2002 Jan. 30

15P/Finlay

第二夜目の観測である。透明度が良く、薄雲の影響もほとんどない。今回は明瞭な画像が 7 フレーム得られた。

測定してみると、赤経はともかく、赤緯残差のバラツキが二群に分かれてしまう。分裂しているのではないか?15.0 T と見積もる。

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2002 Feb. 06

15P/Finlay

透明度が悪い。薄雲もありそう。15等の恒星を写し取るのがやっとで、彗星像は認めず。

C/2002 C1 (Ikeya-Zhang)

あの大ベテラン、池谷 薫さんが昔のままの眼視捜索で新彗星を発見!ニュースを聞いてからずっと天候が悪く、今夕ようやく観測できた。

集光の強い像でコマ視直径 0.8'、DC = 6 ~ 7 と見た。但し地平高度 15 度以下での観測のため、コマを小さく見積もっている可能性がある。

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2002 Feb. 09

15P/Finlay

地平高度が上がり、観測しやすくなってきた。I 光度 13.6 T と増光している模様。

C/2002 C1 (Ikeya-Zhang)

これまた低空にいるので連続観測となり慌ただしいこと。尾が見えるようになってきた。

I 光度 9.2 T、コマ直径 2.9'、DC=6、位置角 90 度に 4.4' 以上の尾

P/2001 (LONEOS)

観測数が少ないと聞いて狙ってみた。これまた西空の連続観測。15P よりも暗い。

I 光度 15.8 T、コマ直径 0.3'、DC=4

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2002 Feb. 11

15P/Finlay

I 光度 13.3 T、コマ直径 0.5'、DC=5
C/2002 C1 (Ikeya-Zhang)

I 光度 8.9 T、コマ直径 3.7'、DC=6、位置角 83 度に 4.8' 以上の尾

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2002 Feb. 20

15P/Finlay

さらに観測しやすくなった。

I 光度 13.6 T、コマ直径 0.5'、DC=5
C/2002 C1 (Ikeya-Zhang)

ずいぶん青みが強い彗星である。コマ視直径も 3' を越え、赤外では尾が写野からはみ出ている。

V 光度 7.2 T、コマ直径 3.7'、DC=6、位置角 84 度に 10.8' の尾
I 光度 8.1 T、コマ直径 3.9'、DC=6、位置角 80 度に 16' 以上の尾
P/2001 (LONEOS)

観測条件が悪いのか、なんとか写った程度。光度未測定だが、16 等台と思われる。

M 74

極超新星・2002 ap が現れたこの銀河を撮影してみた。空が明るいせいで、V バンドでは写りが非常に悪い。赤外でなんとか写る程度。12.5 等。

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2002 Feb. 24

C/2002 C1 (Ikeya-Zhang)

ぐっと明るく、尾の構造も複雑になって、10 センチ・25 倍で見えたにはびっくり。位置角 80 度(イオンテール)から 93 度にかけて複雑な形状の尾が写野をはみ出して延びている。

V 光度 6.4 T、コマ直径 4.7'、DC=6、位置角 80 度に 16' 以上の尾
I 光度 7.4 T、コマ直径 4.3'、DC=6、位置角 80 度に 16' 以上の尾
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2002 Mar. 03

C/2002 C1 (Ikeya-Zhang)

体調が悪く吐き気がするが、久しぶりの晴天に観測準備。構図決めのつもりで撮った 20 秒露光が最後のフレームになってしまった。急に曇ってしまって観測中止。その後晴れたようだがそのまま寝てしまう。

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2002 Mar. 06

C/2002 C1 (Ikeya-Zhang)

今夜も I バンドで 12 フレーム撮影する。コンポジットすると位置角 66 度(イオンテール)から 90 度にかけて尾の複雑な構造が見えてくる。

I 光度 5.1 T、コマ直径 5.7'、DC=6、位置角 66 度から 90 度にかけて 16' 以上の尾
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2002 Mar. 09

15P/Finlay

まだ写るかなと心配だったが、シーイングがよいので露光時間を 90 秒に延ばすとしっかり写った。

I 光度 13.6 T、コマ直径 0.5'、DC=5
C/2002 C1 (Ikeya-Zhang)

今夜は V バンドと Ic バンドで撮影する。尾の方向は位置角 66 度、長さ 18' 以上。

V 光度 4.9 T、コマ直径 4.4'、DC=6、位置角 66 度に 18' 以上の尾
I 光度 5.1 T、コマ直径 4.7'、DC=6、位置角 66 度に 18' 以上の尾
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2002 Mar. 12

C/2002 E2 (Snyder-Murakami)

さて寝る前にと、23 時頃メールをチェックして驚いた。今朝、国内で発見された新彗星の確認依頼が届いている。

比較的詳細な発見位置と「11 等級、コマ 3 分。北東へ移動」だけしかない甚だ頼りない情報である。どれくらい動いているのか分からぬでは探しようもない。

ともあれ、26 時頃から発見位置を基点に北へ東へ、そして南へと狭い写野で掃天していく。一時間経っても見つからない。(写野の狭い CCD による新彗星捜索を模索中だが自信を失った)発見から丸一日経ってなんの情報もないはずがない。27 時過ぎ、中野主一氏に電話を掛けてみた。

「一時間ほど探してるんですが見つかりません。新しい情報ありませんか」

「ありゃー、それはそれは・・・ 25 時頃メールを流しといたけど見てない?アメリカで独立発見があって、軌道はまだやけど、位置が出てるよ」

「観測室内ではメールが読めませんので。今の概略位置を教えて下さい」

「ちょっと待ってね。今日は・・・12 日の18 時やね。18 h 56.5 m、+ 00o 20.7' や」

というわけで、ようやく視野の中に入ってきた。天の川の中を泳いでいる。撮影開始時にはあいにく恒星と重なろうとしているときで、やり過ごすのに随分時間がかかったような気がする(実際には数分だったろうが)。

6 フレーム撮ったところで一旦報告すべきか、このまましばらく追跡を続けるべきか考え、また中野氏に電話した。

「恒星が多くて難儀です。6 フレーム撮りましたが、夜明けまでまだ時間があるし、もっと沢山撮りましょうか。それとも一旦報告した方がいいですか」

「まだ美星からの報告が来てるだけやし、慌てなくていいよ。それに明日の仕事に差し支えるやろから適当にしといて」

明日は休診日なので徹夜も可能である。久しぶりに明け方の別の彗星も見たいし、一旦これら 6 フレームを測定した位置に「撮影したフレームのうち幾つかはまだ恒星から離れきっていないので重心が引っ張られているかも知れず、赤外フィルターを入れていたので正確な光度が出ないからさらに追跡を行う」旨のコメントを添えて報告し、また観測室に入った。

ノーフィルターに替えると彗星の写りが途端に大きくなった。見えなかったコマも大きく広がっている。青いコマが大きく取り巻いているらしい。

9 フレーム撮影し、さて観測終了と赤道儀制御を切ったときに 125P / Spacewatch が頭をよぎった。今回帰、まだ観測されていない彗星である。

そこで、赤道儀制御を入れ直し、シンクロし直して望遠鏡を振ると微かな像が移動している。なんとまあ簡単に見つかるものだ。暗いので露光時間を延ばすべきだったが、徹夜明け近くで頭が働かなかったか、60 秒露光のまま 4 フレーム撮影すると空が明るくなり始めている。これで観測終了。

29 時を回っていたのでまた中野氏に電話した。

「その後フィルター無しで撮りました。随分大きく明るいですね」

「そやろ、さっきの報告はコマ 25 秒やったね。各地からは 60 秒、11 等位の報告が来てるよ」

「確かにそれくらいの大きさです。ところで 125P を撮ったんですけど、もうお帰りの時刻ですね?測定はどうしましょ」

「うん、ぼちぼち帰る。明日の仕事は大丈夫かい?残りの観測報告は明日でいいよ。125P より新彗星の方を頼むよ。今日はありがとう」

観測を送って礼を言われるとは思わなかった。

C 光度 12.0 T、コマ直径 55"、DC=7、コマは南西へ広がっており尾のようにも見える
125P/Spacewatch

今回帰の初観測になるはず。低 S/N のため測定結果は悪かった。

C 光度 18.0 T、コマ直径 0.3'
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2002 Mar. 13

徹夜したのだからそのまま眠ればいいものを、中途半端に起きていて体が疲れるばかり。細切れに 3 時間ほど仮眠しただけ。今夕もいい天気なのでせめてと望遠鏡を向けた。

15P/Finlay

90 秒露光でよく写る。しかしイメージがあまりよくなく測定結果にもバラツキが大きい。

I 光度 13.6 T、コマ直径 0.5'、DC=5
C/2002 C1 (Ikeya-Zhang)

初観測以来、I バンド・360 秒露光を確保しているので、30 秒露光・12 フレームを撮影した。僅か 30 秒の露光で核付近が飽和に近いカウント数を示していてびっくり。これでは測光どころか位置も怪しいぞ!

V 光度 4.3 T、コマ直径 4.4'、DC=6、位置角 64 度に 18' 以上の尾
I 光度 4.5 T、コマ直径 4.3'、DC=6、位置角 64 度に 18' 以上の尾
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2002 Mar. 16

C/2002 E2 (Snyder-Murakami)

シーイングはよいが透明度が最悪。おまけに薄雲がかかっている。綺麗な画像は望まず、位置のみ測定できればよいと割り切って I バンド使用。ノーフィルターで 12.4 T と換算した。赤外なので尾は見えない。

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2002 Mar. 20

今夜の大失態は特筆に値する。

18 時頃、熊本県の宇都宮さんが発見した新彗星の追跡観測依頼が届いていたのだが、メーラーあるいはサーバーの不調でこれを読んでいなかった。この夜は数度に渡ってメールチェックを試みたがすべて失敗。もう少ししつこく試みるべきだった。天気が良く、明日は休みなのでゆっくり観測できた一夜だったのに・・・

結局、新彗星出現を知らずに一晩を過ごし、軌道決定に貢献できなかったことになる。

【Mar. 30 にようやく観測を行った。Apr. 12 記】

15P/Finlay

黄砂のため透明度が悪く、120 秒露光でなんとか写ったものの測定にかからなかった。

C/2002 C1 (Ikeya-Zhang)

既に 15P より低くなりつつある。明るいから位置だけなら測定可能だが、光度観測はあてにならない。一応 Landolt 星野を撮影する。I バンド、10 秒露光。

I 光度 4.2 T、コマ直径 4.8'、DC=6、位置角 50 度に 22' 以上の尾
これらを測定・報告したのが 22 時。26 時には新彗星の続報が入っていたのであるがむろん知るすべもなく、夜明けまでのんびりしていた。

7P/Pons-Winnecke

暗いのだろう、写らず。

C/2002 E2 (Snyder-Murakami)

ノーフィルター、30 秒露光。

C 光度 11.6 T、コマ直径 1.0'、DC=5、尾は写らず
C/2000 WM1 (LINEAR)

南半球から北上してきたこの彗星を観測するのは久しぶり。随分明るくなっていたらしいが減光も急激である。ノーフィルター、30 秒露光。

C 光度 10.3 T、コマ直径 0.8'、DC=5、位置角 250 度に 1' の尾
125P/Spacewatch

二夜目を狙ったが黄砂の影響が去っていないようで、240 秒露光でも写らず。

新彗星はこれのすぐ近くにいたのだが、空は既に白みはじめており観測終了。

写った彗星を測定・報告したのちに、12 時間前のメールがようやく受信できた。これらを読んだときのショックは甚だ大きく、徹夜明けにも関わらずしばらく眠れずにいたほどである。

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2002 Mar. 24

15P/Finlay

福井県で開催された第 32 回彗星会議から帰ってきて一眠りののち、僅かな晴れ間から観測する。透明度はややマシだが彗星が暗くなったようで、120 秒露光でなんとか写し留めたものの、測定位置にバラツキが大きい。14 等くらい。そろそろ見納めかも知れない。

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2002 Mar. 30

シーイングはよいが黄砂のため透明度が著しく不良。今夜の観測はすべて赤外バンドで行う。修理が終わったカメラをセットし、-30℃冷却でのダークフレームを撮像しながら日没を待つ。

15P/Finlay

5 フレーム撮るがそのうち明瞭な画像は 2 フレームのみ。14 等位。今後遠ざかるし、夕方の空は悪くなる。今期の観測はこれで終了する。

C/2002 C1

知らぬ間に随分低くなっている。観測を開始したときの地平高度は僅かに 9 度。

I 光度 4.2 T、コマ直径 5.2'、位置角 20 度に 15' 以上のダストテール、位置角 10 度に 15' 以上のイオンテールが見られる。
赤外バンドではイオンテールが見られないはずにもかかわらず現実に写るのは、フィルターのリークが疑われる。

C/2001 OG108

これも夕空に低いがなんとか初観測成功。

I 光度 13.5 T、コマ直径 0.6'、位置角 318 度に 1.8' のテールが見られる。
C/2000 SV74

古い軌道を使ったのか、暗くなっているのか、恒星と重なっているのか、60 秒露光のフレームに見られず。

C/2001 HT50 (LINEAR-NEAT)

これも久しぶりの観測である。古い軌道を使ったため、予報位置から随分ずれていて新彗星かと思い、チェックに時間を食われる。

16.1 T、コマ直径 0.5'、尾は見られない。
C/2002 E2

やや暗くなってきている模様である。

13.0 T、コマ直径 0.6'、尾は見られない。
C/2002 F1

太陽に近く、撮影のチャンスは少ない。

8.6 T、コマ直径 1'、位置角 300 度に短い尾がある模様だがイメージが悪い。
徹夜になってしまった。

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2002 Apr. 01

珍しく早起きして東の空を狙う。

C/2002 E2

地平高度も充分高く良く写った。

C 光度 12.4 T、コマ直径 0.6'、尾は不明瞭。
C/2002 F1

随分低いところにいる。明るいので簡単に写るだろうと、125P より先に観測する。立派な姿である。

C 光度 8.6 T、コマ直径 2'、位置角 248 度に 9' の太いダストテール、位置角 291 度に 5' と短いイオンテールが見える。
676/Melitta

125P を狙った写野に移動天体を見つけ、やっとこれで二夜目の観測に成功かと思ったのだがどうもおかしい。ステラナビの示す予報位置からかなりズレた場所にいるのだ。12 日に観測したときは予報位置のすぐ近くにいたのに。

空が白みはじめ、地平高度が 20 度を越える頃、その姿は鮮明になり、随分しっかりしたイメージである。拡散状にも見えるが、低空なので回りの恒星もぼやけており区別が付かない。

125P の軌道要素を用いて位置を測定すると異様に残差が大きく、しかも経時的に大きく変化する。これは別物である。MPCecher にアクセスして調べると 676 (Melitta) が表示された。軌道要素を求め、Astrometrica に入力し、再測定すると残差が消失した。どうせなら未知の天体であって欲しいもの。

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2002 Apr. 05

今日も早く起きて東を狙う。

2002 FD6

地球に接近する特異小惑星である。今の地心距離が約 130 万キロ。急速に南下中である。14 等でその速度が秒速 1.6" はちょっと苦しい。これまで観測した小惑星のうち最速と思う。

これだけ地球に接近する天体の軌道は刻々と変化するため、最新の軌道を用いても数分角から十分角以上の位置誤差が出る。探し当てるのにまず難儀する。

4 秒露光をかけても流れて写るし、さて、測定精度のほうは如何に?

C/2002 E2

やや暗く、小さくなってきた模様である。

C 光度 13.0 T、コマ直径 0.5'、尾は見えない。
C/2002 F1

かなり成長している。

C 光度 8.2 T、コマ直径 1.7'、位置角 250 度に 10' の太いダストテール、位置角 300 度に 10' のイオンテールが見える。
125P

ノーフィルター・60 秒、90 秒、赤外フィルター・90 秒、180 秒露光を行う。透明度が良く、地平高度も高くてこれが最後のチャンスである。

いくら調べても分からない。ノイズと紛らわしい像(約 19 等)があるが測定にかからない。この彗星も今後遠ざかるばかりなのでこれをもって観測終了とする。さて、この彗星、誰か他に観測したのだろうか?MPEC にはまだ情報が出ていないが・・・

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2002 Apr. 12

久しぶりに晴れたのでまた明け方の空を狙ってみた。

C/2002 E2

C 光度 12.3 T、コマ直径 0.5'、尾は見えない。
C/2000 WM1

南半球でバーストを起こし活躍したそうだが、もはやその面影はない。

C 光度 11.4 T、コマ直径 0.5'、位置角 250 度に 1' の尾が見える。
C/2002 C1

明け方に回ってきたこの彗星を見るのは 3 月 24 日以来である。細い尾は R バンドで尤も明瞭である。B, V, R 各バンドで撮影し、カラー合成してみよう。

V 光度 4.2 T、コマ直径 6.9'、位置角 335 度に 20' 以上の尾が見える。
C/2002 F1

一週間ぶりに見て驚いた。とんでもなく大きくなっている。それにこの姿、ウェスト彗星そっくりではないか!

5.6 T、コマ直径 2.3'、位置角 320 度に 10' の幅広い尾が見える。
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2002 Apr. 27

全然晴れず欠測期間が長くなった。ようやく夕空に晴れ間が見えたので観測室へ。西空を見ると地平から 10 度くらいまで雲がかかっているため、宇都宮彗星の観測は断念する。ところが、門田さんの観測によるとこの日この彗星は大化けしていたそうである。無理を承知で望遠鏡を向けるべきだった。結局暗い彗星二つを観測しただけで満月が薄雲を照らしはじめたのでおしまいにした。

C/2001 OG108

C 光度 15.7 T、コマ直径 0.3'、位置角 95 度に 1.5' の細く淡い尾が見える。
C/2001 HT50

16.6 T、コマ直径 0.3'、尾は見えない。
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2002 May 12

日没頃から晴れはじめ、久しく見ない快晴となった。体調が悪いが、そろそろ見えなくなる宇都宮彗星を放っておけない。

久しぶりにドームを開け、西空の金星で赤道儀を初期化、そのまま彗星へ向ける。まだ空が明るく、0.01 秒露光では何も写らない。次第に空が暗くなり、星が写りはじめる(最初に写った一番明るい天体が彗星だった)。どうも星数が少ない。比較星の S / N が不充分だと位置測定ができない。20 秒露光で撮影を開始する。8 フレーム目あたりから霜が降りはじめた模様である。この雨期に観測室のメンテをサボった天罰であろう。

彗星の写りもはっきりしないし、周囲の恒星は 11 等クラスが僅かばかり見られるだけで測定には難儀した。少ない比較星でその平均残差をなんとか小さくしたものの、彗星の残差がバラバラである。地平高度 5 度前後では致し方ない。

C/2002 F1

7.5 T、コマ直径 1.0'、集光極めて強く、位置角 70 度に 2.0' の尾が見える。ひと月前の面影はない。
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