No.051 <比良>中谷右俣溯行 2


1994.03.27.Sun.雪のち晴れ

今回は綿密な計画書を作成した。

0652 木戸集落(130m)発 雪がちらついているというのに鴬がもうちゃんと「ホー、ホケキョ」と鳴けるようなっている。打見山登山口のポストに登山計画書を入れる。
0733 荒川峠方面分岐(340m)
0740 発 前回と同じ堀立て小屋の前にまた出てしまった。このすぐ先は堰堤に遮られる。やむを得ず右の崖を攀じ登ると立派な登山道がある。うーむ、ここまで明瞭な分岐点はなかったように思うのだが、、、
0811 大堰堤(500m) 左岸を巻いて堰堤上に立つ。雪がちらついているが時折左俣源頭の崖が見える。右俣へ。5m 程の滝が 2 つ。元日には両方とも直登したが、今回は雪が多く 1 つ目左岸、2 つ目右岸を巻いた。滝は中央のみ流れがあり、すぐ際まで積雪がある。
0851 元日に滑落した滝(写真)(590m) アイゼンを装着し、ピッケルを取り出す。

【右岸を直登する】

0910 発 この滝はかなり手前から緩い階段状の登りになるので元日の時と同様ついここを登ってしまったが、滝の上方でトラバースせねばならず、アイゼンを付けていてもやはり恐い。上から見ると、滝直下から登った方が簡単そうである。前回落ちた地面はよく見ると砂地ではなかった。よくまあケツ痛だけで済んだものだ。まあ、なんとか通過する。

1040 右岸大高巻きの後一休み(740m) 大きなツララが下がっている。時折日も射して美しく輝いている。小さな昆虫が雪の上をはいずり回っている。もう春。幅 5 メートル長さ 20 メートルくらいの雪崩の跡を見つけた。

1045 発 この辺りまで登ると沢は雪の下に隠れ、流れの音が聴こえるのみである。あまり中央に寄ると雪を踏み抜いて水中にドボンということになるし、大きな岩に近づくのも崩れてきそうで神経を使う。滝の巻道は急傾斜でしかも雪は表面こそクラストしているもののその下は軟雪でツボ足になってしまう。
ピッケルのシャフトを目前 50 センチあたりに根本まで突き刺し、両手で掴まって左右の足を一歩ずつ踏みだし、またピッケルを前方の雪面に突き刺して進む繰り返しである。

1120 (845m) だいぶ疲れたので昼食とする。おにぎり1 つ、神戸灘生協謹製のアーモンドチーズ煎餅。これがなかなかうまい。チョコレートやビスケットも持ってきたがノドを通りにくく手を出す気にならない。テルモスに詰めてきたインスタントカプチーノも暖かくてありがたい。時折雪が吹くが青空も見えてきた。びわ湖も見える。びわ湖バレイスキー場のアナウンスが聞こえてくる。恐い沢を一生懸命詰めているときに上から声が聞こえてくるのはなんとも興ざめであるが、反面安心でもある。

【急斜面の雪を踏みならして休憩。下方を眺める】

1143 発 源流付近の岩壁から湧水が。コップを持ってこなかったので岩に直接口を付けて飲む。見覚えのあるゴルジュ状を通過すると稜線直下の急斜面に出る。一度歩いた経験があると安心感があるものだ。案の定、稜線直下はフカフカ雪であった。例によってピッケルを突き刺し、下腿を全部雪に乗せてなんとかツボ足を免れる。実にみっともない姿である。

【中谷右俣を俯瞰する。自身の足跡が見える】

1245 稜線上(980m) ここまで来ると雪が固い。2.5万図をなんと忘れてきたのでどうしようかと心配だったが幸い視界が良く、打見山から蓬莱山まで見通せたので方向を失わずに済んだ。元日には小さな窪み状だった縦走路など跡形もない。トレースもない。びわ湖側に寄りすぎると腰まで没するのでなるべく西側を歩く。小さなピークを 2 つ程越えると木戸峠直下のキャンプ場が見えてきた。

1318 木戸峠(1000m) いつも昼食場所にしているキャンプ場の屋根付き炊事場は流し台付近まで雪に埋まっている。どうせなら陽の当たるところが暖かくていいので木戸峠の標識のあるところで 2回目の昼食とする。キャンプ場から大荷物を担いだ二人組が上がってきたのでしばらく話す。小女郎から荒川峠まで縦走中とのこと。

【木戸峠にて】

1351 発。クロトノハゲ方面へ向かう打見山東側の巻道は雪が深く跡形もない。この巻道には一歩間違うとびわ湖側へ転落という箇所がいくつもあるので即座に断念し、キャンプ場を経由してスキー場ゲレンデを打見山へ登る。スキーヤーが一人寄ってきた。その人も山ヤであった。「今年の比良は雪が多いですねえ」などと話して別れる。

1424 打見山(1135m→1105m修正) 真っ白に雪をかぶった武奈ケ岳が輝いている。さぞかし大勢の登山客でにぎわっていることだろう。

【打見山より武奈ヶ岳を望む】

リフト降り場から下がり、水呑不動を通って志賀駅方面の標識まで来たがやはりここも深い雪でトレースなし。ラッセルの深さは腰程度。ほとんど登りばかりで 7時間が過ぎ、随分疲れたので歩いて降りるのは諦めた。

 歩行時間 0605
 休憩時間 0127
 合計時間 0732

1442 打見山 ゴンドラにて下山。「1 月 4 日に一人で山へいくと言い残し、入山したまま帰らない奈良の 26 才男性に関する情報をお願いします」という堅田警察署の立て看板があった。どこを歩いているのかわからないのでは探しようがない。真っ先に思い浮かぶのは木戸峠→クロトノハゲの巻道。あの辺で落ちたんじゃなかろうか?などと考えつつ木戸集落の別荘地を通過して木戸へ。オオイヌノフグリがいっぱい咲いている。

ポストの登山計画書に無事下山した旨記載したが、もうこれは不要かと思い直し回収した。下山した頃は快晴で空気も綺麗になってきたようだ。ソラマメのような格好の伊吹山が見える。さらに北には真っ白な大きな山が見えるがあれはなんであろうか?

帰宅後入浴。体重は 62.5kg にまで減っていた。近頃の最低記録である。
22 時 30 分、2.5万図を見てルートの復習をしながら寝る。
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