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No.124 <北ア>槍ヶ岳

1998.04.28.Tue.晴れ

仕事を終え、帰宅してさっさと夕食、入浴を済ませる。
2035 自宅発(バス)
集合場所近くのコンビニに直行。明日の朝食、昼食にお握りと 500cc ペットボトル 3 本を買う。このコンビニが閉まっていたら、あるいは目的の品がなかったら引き返すところ。
2130 発 今夜の上高地行きバスは 1 台。8 割程度の入り具合。


1998.04.29.Wed.晴れのち曇り

0530 上高地着 ザックに付けた寒暖計は 14 ℃を指している。
弁当を取り出し、ボチボチ開き始めた売店で「特濃 4.5」という牛乳を求める。実に美味い。
カラになった弁当箱と一緒に登山計画書をゴミ箱に放り込んでしまい、あわててゴミ箱を漁る。
0555 発 これから始まる約 15 Km の単調な水平路は退屈だが助走路と考えればいい。いきなりの急登は堪える。

0635 明神 通過
0720 徳沢 通過
0805 横尾 コイノボリが揚がっている。ちょっと休憩。
0815 発 やや山道らしくなってくる。一の俣、二の俣を過ぎて槍見河原をやり過ごしてしまったことに気づく。一の俣より横尾側だった。

0935 槍沢ロッジ 事前に入力し忘れていた経緯度をここで入れようと GPS を取り出すが、電池が減るばかりで衛星を補足しない。それほど囲まれた場所ではないのに。
オニギリ 2 個。1 本目のボトル(緑茶)終わり。次はノンカロリーレモンティの出番。

0950 発 樹林帯の残雪上を行くが、夏道が出ていてびっくり。槍沢には既に流れがあって、その脇、左岸に沿う箇所は狭いトラバースに気を使う。滑ればボチャン。ここでストックがあれば助かったのだが、今回ピッケルしか持ってこなかったのだ。暑くなりそうなのでカッターを脱ぐ。
槍沢キャンプ場まで上がるとその向こうには雪原が広がる。まだしばらく先まで流れがあり、クレバスが目立つ。ここでカッパ下とスパッツを付ける。大曲までは傾斜も緩く、ただときどきツボ足になるのが難儀。

1105 2060m 地点 大曲を過ぎ、体のバランスを失いがちなのでピッケルを取り出す。伸縮自在のストックの方が断然有用。
1110 発 稜線までまだ 1000m もある。この辺り、標高差を考えて精神的に参ってしまう難所である。やがて冷たい風が吹き始めた。

1130 寒いのでカッターシャツを着用。
チーズ蒲鉾を食べ、GPS で槍ヶ岳をナビしてみたら直線距離 2km だそうな。それでもあと 4 時間か...
1140 発 「稜線まであと *** m」と呪文を唱えつつ一歩一歩進む。

前方に高年 3 人組がゆっくり歩いている。追いつき、追い越したもののしばらくするとまた抜かれてしまう。競争しているわけではないが、何故か考えてみてふと気づくものがあったので実行してみた。歩幅を狭め、ピッチも遅くしてなるべく息が切れないように、つまり長く立ち止まらないようにするのだ。彼らが休んでいる間、また追い越したがその後追いつかれることはなかった。(結果的に昨年より早く稜線に出た。一つ賢くなったのは今回の収穫)

1255 2525m 地点 冷たい風が強くなりガスが出て視界を妨げる。昨年と同じ状況にああ今年もかと嘆息する。
最後の登りに備えてオニギリ 2 個を食べる。いつも飲んでいる水よりも香りや味のついたレモンティーはなかなか良い。量が減ってきたので残雪を放り込んで量を稼ぐ。
1310 発 やがて殺生ヒュッテが見えるとホッとするがまだまだ先は長い。その付近の傾斜がやや緩くなり、先行者の影が一時的に見えなくなる。槍の穂先は相変わらずそれらしい影が時折見えるだけ。そこを越えるとまた傾斜は階段並みに増し、息切れで立ち止まることのないよう遅いペースを保つ。濃いガスと風のためサングラスが曇り始める。

いよいよ稜線に近づき、ガスの晴れ間に槍ヶ岳山荘が見えてきた。しかし、ここからがまたしんどいのだ。先行者はテントを担いでいるらしくなかなか歩が進まない。こちらも同様に進まず同じ間隔を保っている。
15 時 過ぎ、ようやく稜線に出た。風が強いものの、昨年のように雨は降っていないので穂先の登り口を覗いてみた。穂先にはほとんど雪が付いていないようだが、今登っても展望がないし風で飛ばされる危険がある。
1520 槍ヶ岳山荘着 稜線上の雪も少ないが、しかし入口は昨年同様雪の階段を下って入るようになっている。

 歩行時間 0825
 休憩時間 0100
 合計時間 0925

宿泊申し込みをしているとき、係りのお姉さんから後続の人数を聞かれたので 5 人くらいと答えておいた。今のところ 12 名とのこと。ここは遠いからか危ないと思われているからか毎年この時期、涸沢に較べて随分閑散としているらしい。

穂先を狙いつつ、エントランスで缶飲料を飲みつつ過ごす。風が止まず、体も冷えてきたので穂先は明日に期待し、靴・靴下などを乾燥室へ。
暖房の入った談話室は暑すぎるのですぐに出てテレビを見ると通常の放送ではなく全国の天気を繰り返し映し出している。明日午前 9 時の予報天気図を見ると大陸から高気圧が日本海に移動してくるようで期待できそうである。

低山徘徊派・あきゆきさんと計画書をポストしている 2FU さんに電話を入れる。携帯電話は槍沢側の窓際からは通話可能だが、岐阜側ではダメである。恐らく松本を中継しているのだろう。自宅は留守にしているようで数回目にようやく繋がった。
17 時半より食事。ご飯お代り。3 杯目は、、、やめといた。

宿泊客は全部で 15 名くらい。談話室でワイワイやっているうちに全体がパーティーみたいになってきて各種情報を交換し始める。
かなりベテランらしい高年ハイカーは数日前から入山し、先日まで穂高にいたそうだが凄い人出だそうな。ザイテングラートが完全に露出しているそうで、槍・穂連峰は総体に雪が少ない。
つい先日穂先に登った人の話では、ルートに雪・氷はほとんどなく、アイゼンとピッケルは邪魔になるとのことなのでカメラだけ持って上がることにしよう。明日は早いほど天気が良いそうなので朝飯前に穂先を狙うことにする。
ここは初めてというハイカーは関東方面から半徹夜ドライブの末新穂高温泉に車を停め、7 時に歩き始めて途中道に迷い、18 時に到着したそうな。随分危なっかしいことで。

寝る前にトイレへ行くと、ガスが途切れて窓から笠ヶ岳や新穂高温泉宿の明りが見える。いよいよ明朝に期待。
19 時を過ぎたので部屋に戻り、荷物は散乱させたまま床に入りすぐに眠り込んでしまった。10 名分の番号札の付いている床には枕が 5 つ。実に広々している。


1998.04.30.Thu.晴れ

0440 起床 散乱した荷物はそのままに、さっさと身支度を整えて穂先へ。
玄関から穂先の横に太陽が見える。もう少し早く起きていれば、、、

【穂先の朝】

軽装で穂先へのルートを辿る。確かに夏と同じで邪魔になるほどの雪はない。5 時半頃頂上着。

2 年ぶりの穂先である。大気の透明度は今ひとつだが、雪を被った北アルプスの展望が素晴らしい。後続がどんどん来るが夏と違ってうるさいほどの混雑ではない。しかも昨日同じ山荘でいろいろ話をした仲間である。
北穂高岳の小屋が見える。奥穂高岳から西穂高岳への稜線、前穂高岳・北尾根もくっきり。双眼鏡でもあれば奥穂高岳に人影が見えたはず。穂高の向こうには焼岳、乗鞍、雲を被った御嶽山。
立山連峰はギザギザと険しく、西側斜面の真ん中付近から三角形のピークが見える。もしや剱岳
一昨年秋に見えた中央・南アルプス、富士山は見えなかった。

【焼岳、乗鞍岳、御嶽山】

【穂高連峰】

【北鎌尾根】

【立山連峰】

【後立山連峰】

7 時からの朝食にあわせ、1 時間ほどの滞在を終えて一斉に下り始める。
朝食を済ませ、パッキングをやってからしばらくのんびりした後下山にかかる。
外に出ると異様に暖かいのでカッパ上はすぐに脱ぐことにした。オーバーミトンも不要でウール手袋のみにする。アイゼンを今回初めて取り出す。
稜線からの急斜面で早速尻セードを試みるが速度が出過ぎ、教科書どおり、ピッケルを打ち込んで停まる練習ができた。のち斜度を判断しながら滑り降りていく。ゴアのカッパは完全防水ではないようで、ズボンの尻が濡れていた。あるいは早々と穴でも開けたか?

【穂先を振り返る】

大曲付近からはクレバスと槍沢の流れに注意してのんびり進む。

【下流へ】

日射しが強く、雪の槍沢カールは反射炉のようで随分日焼けすることだろう。日焼け止めクリームを持って来なかった(見つからなかった)ので覚悟せねばならない。
0920 槍沢キャンプ場 登りの 1/4 くらいの時間で下ってしまった。ここから下には雪がないのでアイゼン、ピッケル、スパッツ、カッパを片づけ、流水で雪を落とし、濡れ物は全部ザックの底に納めるなどパッキングのやり直し。このままで下界を歩ける姿に変身。
0935 発 夏道、残雪を通過し、高度を落としていく。
0955 槍沢ロッジ 通過。
ほとんど雪のない道を往路で見逃した槍見河原を探しつつのんびり下っていく。一の俣を過ぎて間もなく、対向者が穂先の撮影ポイントを教えてくれた。樹木に邪魔されることなくよく見える場所を見つけ、撮影。振り返れば「槍見河原」の看板が建っていた。なぜ往路でこれを見逃したのか?

【槍沢ロッジ近辺の植物】

1105 横尾 空腹を憶え、太めのソーセージ 2 本とチーズカマボコ 1 本を食べる。山荘横のコイノボリを撮影して出発する。
1120 発 以前から気になっていた右手に見える山は右端が屏風の頭だろうから、それに続く段々は前穂高岳・北尾根だろうと推測する。もっと進むと明神岳が見えてくるのだろう。間近からみると案外判断に苦しむものだ。
1205 徳沢 ここには綺麗なトイレがありよくお世話になる。今回も小用を。

【徳沢キャンプ場の桜】

1245 明神 「上高地散策団体」が急増する。この先道がやや狭くなる部分もあり、横に広がってしかもフラフラと無遠慮に歩くオババ達の無神経には毎度腹立たしく感じる。割合まっすぐ歩いている人を見定め、その横を追い越そうとすると突然進路を塞ぐように方向を変えられるとこちらはかなりくたびれているので咄嗟に避けることが難しい。バックミラーでも装備して歩いてもらいたい。
格別急ぐのではないが、団体さんを追い越すので自然に早歩きになり、疲れが増す。
1325 上高地 例によって西穂高岳から奥穂高岳への稜線を眺め、西穂高岳に挨拶する。

 歩行時間 0455
 休憩時間 0030
 合計時間 0525

バスは昨年と同じ、1350 発である。新島々経由、松本まで通しの切符が 2500 円。
咋朝の牛乳を飲みたくて探すがなかなか見つからず、いろいろの銘柄を試して合計約 600 cc も飲んでしまい、気持ちが悪くなった。
1350 上高地発 顔が熱い。額をちょっと擦ってみると何かがポロポロ落ちる。まさか昨日今日の日焼けで皮がむける筈もなく垢なのだろうが、随分乾燥している。汚いのでほどほどにしておく。車窓からの景色はまともに見ず、うつらうつら。
1505 新島々着 トイレに入り鏡を見て驚いた。顔がかなり赤い。槍沢の下りでタオルを覆面代わりに使ったのだが既に遅かった。
1522 発 のんびり電車に揺られる。小学生の団体が乗り込んできて、遠足かと思ったがそうではないらしい。こんな時刻まで授業をやっているのか。1 年生も沢山..
1553 松本着 上高地からの切符は相変わらず硬券で、出札で持ち帰りたいと言うと面倒なのかどうぞご勝手にといった雰囲気だった。昨年は無効印を押してくれたんだが。
昨年と同じ時刻なのですぐ列車が来るはずだったが、しなの 24 号は運行しておらず、次の 26 号の切符を買う。9900 円。時間潰しにステーションデパートをウロつき、長野オリンピック関連の記念品売り場を覗く。
1636 松本発 しなの 26 号は乗ったことのない新しいタイプの列車だった。内装が豪華でまるでグリーン車のよう。
木曽福島を過ぎる辺りから雨が降り出した。
1839 名古屋着 さっさと新幹線ホームへ。多少時間があるので立ち食いきしめんを試してみた。む、出汁が黒い。できあがった上にカツヲブシを乗せるのはカツヲで出汁をとっていないからか?
間もなく到着したひかり(1852)はかなりの混雑ぶりで、昨年 4 席対向を占領した快適さとは大違いなので 2 本パスしてこだまを待つことにした。
1906 名古屋発 14 分待った甲斐があった。こだまはガラ空き。早速 4 席を対向とし、靴を脱いでくつろぐ。
米原に停車中、2FU さんから電話がかかってきた。山の話でしばらく盛り上がる。
明日から山スキーだそうな。お気をつけて。
2020 新大阪着


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