月別保管庫(2008年09月) | メイン
2008年09月12日
P/1896 R2 = 2008 R6 (GIACOBINI)
9月10日に板垣さんと金田さんがジャコビニ彗星を再発見したわけですが、実はこれより2ヶ月早い7月13日に私もこの彗星を芸西天文台で捜索していました。この時期は芸西天文台の3人チーム(関勉さん、村岡健治さん、私)で本格的に観測を始めようと最終的な調整をしていたころで、私は軌道が計算された移動天体を捜索するためには、コンピュータにどのようにデータを設定すると捜索しやすいのかをいろいろ試していたのです。ですから、"捜索"とはちょっとちがうかもしれません。
芸西の観測設備は視野が横方向(長い辺)が27分角程度なので捜索用としては不向きなほど視野が狭いです。ですから、天体がありそうな範囲を写すためにはモザイク状に10箇所とか30箇所とか写さないといけません。しかも同じところを最低3枚は写さないと移動していることが確認できませんので、撮影枚数はかなり多くなります。しかも暗い天体であることがわかっていると、露出時間は1枚あたり10分を要するので1夜ではカバーし切れません。本格的に捜索しようとするとこのような大変な作業が必要ですが、まあこの時は練習だったので、村岡さんが軌道計算した予測位置から0.3日間隔で近日点をマイナス方向にずらしながら-1.2日まで5箇所を3枚ずつ、各10分露出で写しました。
っで、板垣さんと金田さんが見つけた位置を調べたらビックリ。なんと近日点が村岡さんが計算した位置からプラス側にわずか0.3日の位置でした!マイナス側ばかり捜索せずにプラス側に1画面分でも写していれば、「発見できた」とは言わないまでも、貴重なデータが得られたと思われます。
軌道計算の精度が極めて高かっただけに発見につなげられなくて誠に残念でした。
2008年09月11日
D/1896 R2(Giacobini)ジャコビニ彗星が生きていた
9月11日0時26分、中野主一さん(国際天文学連合・小惑星センターの軌道計算者)から、"Re: New Comet"というタイトルのメールが飛び込んできました。本文には"Itagaki-Kaneda"の文字があり、バイサラ軌道で計算された軌道要素と位置推算が記載されていました。もうほとんど電報のようなメール(一般の人が見たら暗号メール)で、それ以上の詳しいことは記載されていませんでした。しかし、彗星観測者にとっては十分すぎる情報です。メールのタイトルが"Re:
"となっているので、もともとだれかに返信しようとして書いた文を、彗星があるわし座が西の空に沈む前に観測できるよう、大至急国内の特定の観測者に配信したのでしょう。
その後4時24分になって詳しい情報が配信されてきました。板垣公一さんと金田宏さんがみずがめ座とわし座の境界付近で14等級の彗星を発見したという内容でした。久しぶりの日本人による彗星の発見です。そして、この彗星はD/1896 R2(Giacobini)彗星だというのです。彗星名は普通頭に"C/"または"P/"の文字が付きます。ところが、このジャコビニ彗星は頭に"D/"と付いています。これは何度も回帰したはずなのに、だれにも観測されなくて消滅した、または分裂したり惑星に衝突して消滅した彗星に付けられるコードです。
発見者はジャコビニ彗星を探していたのか、それとも何かの天体を写していたときに偶然彗星が入ってきたのかまだ詳しい情報は流れていませんが、もしジャコビニ彗星を探していたのでなければ、「自分の名前が付く彗星を発見したぞ」と思ったに違いありません。ところが、その直後に「あれはジャコビニ彗星だ」と知らされたら.......。もしかしたら、ひどくがっかりしたかもしれません。
しかし、"D/"と付いた「見失われた彗星」を再発見するのは新彗星を発見するのと同じくらい、いや、新彗星を発見するより価値のある場合があるのです。ジャコビニ彗星などはそのケースではないでしょうか。
それにしても、あんな月明かりの強い日にいったい何を写そうとして、わし座に望遠鏡を向けていたのでしょうか?せいぜい16等~17等しか写らないと思うので、少なくともジャコビニ彗星を探していたとは考えられません。天の川の中の新星でも捜索していたのでしょうか?
いずれにしても、月が明るい星空の下でも探し回るくらいの気迫がないと発見なんかできるものではないと反省した次第です。
その後4時24分になって詳しい情報が配信されてきました。板垣公一さんと金田宏さんがみずがめ座とわし座の境界付近で14等級の彗星を発見したという内容でした。久しぶりの日本人による彗星の発見です。そして、この彗星はD/1896 R2(Giacobini)彗星だというのです。彗星名は普通頭に"C/"または"P/"の文字が付きます。ところが、このジャコビニ彗星は頭に"D/"と付いています。これは何度も回帰したはずなのに、だれにも観測されなくて消滅した、または分裂したり惑星に衝突して消滅した彗星に付けられるコードです。
発見者はジャコビニ彗星を探していたのか、それとも何かの天体を写していたときに偶然彗星が入ってきたのかまだ詳しい情報は流れていませんが、もしジャコビニ彗星を探していたのでなければ、「自分の名前が付く彗星を発見したぞ」と思ったに違いありません。ところが、その直後に「あれはジャコビニ彗星だ」と知らされたら.......。もしかしたら、ひどくがっかりしたかもしれません。
しかし、"D/"と付いた「見失われた彗星」を再発見するのは新彗星を発見するのと同じくらい、いや、新彗星を発見するより価値のある場合があるのです。ジャコビニ彗星などはそのケースではないでしょうか。
それにしても、あんな月明かりの強い日にいったい何を写そうとして、わし座に望遠鏡を向けていたのでしょうか?せいぜい16等~17等しか写らないと思うので、少なくともジャコビニ彗星を探していたとは考えられません。天の川の中の新星でも捜索していたのでしょうか?
いずれにしても、月が明るい星空の下でも探し回るくらいの気迫がないと発見なんかできるものではないと反省した次第です。