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2010年11月14日
気合い入れてPANSTARRS彗星を撮りました
ハワイのハレアカラ山にあるPan-STARRS 1望遠鏡が10月6日(UT)に早くも(?)1個目の彗星を発見したのですが、これが暗いのなんのって、発見した時の光度は21.4等と報告されました。その後も19等後半から20等級と、まったく明るくならないので1ヶ月以上経過しても観測数はたったの21個しかありません。観測した天文台は6ヶ所のみで、多くは1mとか2mクラスの望遠鏡です。
このまま太陽方向に移動すると観測できなくなるし、再び太陽から離れても観測データが少ないと軌道計算の精度が悪いので、探すのが大変になります。そこで少しでも観測数を増やし軌道の精度を高めるために、芸西天文台の70cm反射望遠鏡で観測してみようと思いました。
下は現在計算されているP/2010 T2 (PANSTARRS)の軌道図です。時計の針と逆方向に移動していますので、徐々に太陽方向に移動し観測できなくなることがわかります。

11月10日に天文台に着くと、前日までにあった濃い黄砂は無くなっているものの、カシオペア座付近の天の川は見えないという感じで、あまり透明度は良い夜ではありませんでした。
試しに10分露出で2枚撮ってみました。すぐその場で画像処理し、測定ソフトで2枚の画像を交互に表示させ、予測位置に移動天体が写っているかどうか調べました。動いている天体があるような、ただの感度ムラのような気もするなんとも自信のない画像しか得られませんでした。
これは20等級だなと感じたので、コンポジット作戦を開始しました。コンポジットとは、同じ位置を何枚も撮像し、画像を重ね合わせて、1枚では検出できないような暗い天体を浮かび上がらせる技術です。これの短所はとにかく時間がかかることです。
3枚コンポジットすればどうにか検出できるだろうと思ったので、まず10分露出で3枚撮像してコンポジットしてみました。どうにかそれらしいものが写っています。本当に対象の彗星であることを確実にするためには3つくらいのデータが必要なので、3枚のコンポジットした画像が欲しいところです。そのためには全部で9枚撮らないといけません。
気合い入れて10分露出をあと6枚撮ります。いつもはこんなことをやっているうちに雲が出てきて中断したりします。途中で長時間中断するとコンポジットしても周辺の星がモールス信号みたいな点線になるので今度は測定ができなくなるのです。
この夜は望遠鏡の調子も比較的良く、12枚撮像した中で2枚の追尾エラーの画像ができてしまいましたが、雲の通過もなく約2時間で10枚撮像できました。
測定は次の日に自宅で落ち着いて行いました。3枚ずつコンポジットした3枚の画像からの測定は順調に進み、どうにか3観測取得できましたので、軌道計算担当の村岡さんと関さんにメールを送信して私のお仕事は完了しました。すぐに村岡さんにチェックされ、小惑星センターに報告されました。
光度は19.8等でした。
下の画像は10枚の画像をコンポジットしたものです。彗星の移動に合わせてコンポジットするので、周辺の恒星は流れて写りは悪いですが、彗星の光は1点に集中して明瞭になるのです。
芸西までの往復2時間、撮像2時間、測定1時間と、たった1個の彗星の観測のために5時間を使ったことになります。
この貴重な画像をご覧ください。
(それにしても、背景が汚いなあ~。(ぼそっ))
![[P/2010 T2 (PANSTARRS)の画像]](http://www.comet-web.net/mira/Photo/Comet/PK10T020-cmp10-trm-p1.jpg)
P/2010 T2 (PANSTARRS)
このまま太陽方向に移動すると観測できなくなるし、再び太陽から離れても観測データが少ないと軌道計算の精度が悪いので、探すのが大変になります。そこで少しでも観測数を増やし軌道の精度を高めるために、芸西天文台の70cm反射望遠鏡で観測してみようと思いました。
下は現在計算されているP/2010 T2 (PANSTARRS)の軌道図です。時計の針と逆方向に移動していますので、徐々に太陽方向に移動し観測できなくなることがわかります。

11月10日に天文台に着くと、前日までにあった濃い黄砂は無くなっているものの、カシオペア座付近の天の川は見えないという感じで、あまり透明度は良い夜ではありませんでした。
試しに10分露出で2枚撮ってみました。すぐその場で画像処理し、測定ソフトで2枚の画像を交互に表示させ、予測位置に移動天体が写っているかどうか調べました。動いている天体があるような、ただの感度ムラのような気もするなんとも自信のない画像しか得られませんでした。
これは20等級だなと感じたので、コンポジット作戦を開始しました。コンポジットとは、同じ位置を何枚も撮像し、画像を重ね合わせて、1枚では検出できないような暗い天体を浮かび上がらせる技術です。これの短所はとにかく時間がかかることです。
3枚コンポジットすればどうにか検出できるだろうと思ったので、まず10分露出で3枚撮像してコンポジットしてみました。どうにかそれらしいものが写っています。本当に対象の彗星であることを確実にするためには3つくらいのデータが必要なので、3枚のコンポジットした画像が欲しいところです。そのためには全部で9枚撮らないといけません。
気合い入れて10分露出をあと6枚撮ります。いつもはこんなことをやっているうちに雲が出てきて中断したりします。途中で長時間中断するとコンポジットしても周辺の星がモールス信号みたいな点線になるので今度は測定ができなくなるのです。
この夜は望遠鏡の調子も比較的良く、12枚撮像した中で2枚の追尾エラーの画像ができてしまいましたが、雲の通過もなく約2時間で10枚撮像できました。
測定は次の日に自宅で落ち着いて行いました。3枚ずつコンポジットした3枚の画像からの測定は順調に進み、どうにか3観測取得できましたので、軌道計算担当の村岡さんと関さんにメールを送信して私のお仕事は完了しました。すぐに村岡さんにチェックされ、小惑星センターに報告されました。
光度は19.8等でした。
下の画像は10枚の画像をコンポジットしたものです。彗星の移動に合わせてコンポジットするので、周辺の恒星は流れて写りは悪いですが、彗星の光は1点に集中して明瞭になるのです。
芸西までの往復2時間、撮像2時間、測定1時間と、たった1個の彗星の観測のために5時間を使ったことになります。
この貴重な画像をご覧ください。
(それにしても、背景が汚いなあ~。(ぼそっ))
![[P/2010 T2 (PANSTARRS)の画像]](http://www.comet-web.net/mira/Photo/Comet/PK10T020-cmp10-trm-p1.jpg)
P/2010 T2 (PANSTARRS)
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2010年11月13日
池谷・村上彗星が発見されました!
11月5日の朝、久しぶりに大きなニュースが飛び込んできました。
池谷・関彗星や池谷・チャン彗星の発見者として知られる静岡県の池谷薫さんと、シュナイダー・村上彗星の発見者として知られる新潟県の村上茂樹さんが、明け方の東の低空に8等前後の彗星を眼視捜索で発見したというものです。池谷さんが発見したのは11月3日の明け方で、村上さんが発見したのは11月4日の明け方でした。この時点では池谷さんがすでに発見していたことは村上さんにはとうぜん知らされておらず、国際天文電報中央局の関係者のみが知っていました。直ちにほんの少数の信頼されている観測者に確認観測の依頼がされたようです。
11月5日、何通かの見慣れない彗星名のタイトルがついたメールが届いていました。5時57分に佐藤裕久さんから「C/2010 V1 (Ikeya-Murakami)」というタイトルのメールがあり、門田健一さんが観測したデータを加えて軌道計算したデータが送られてきていました。なんじゃその彗星名は?ミスタイプかななんて思っていたんですが、どうもメールが騒がしい....。6時35分には高橋俊幸さんから「池谷-村上彗星(C/2010 V1)の観測です。 D95」というメールが届き、精密位置測定のデータが3観測届いていました。その直後には張替憲さんからも「2010 V1 池谷・村上彗星」というタイトルで観測のコメントが届き、張替さんのブログに2010年11月5日付ですでに撮像した画像が掲載されていました。6時53分には再び佐藤裕久さんが眼視観測したデータが届いており、コマ視直径が3.5'で光度が8.2等とその他詳細なデータが知らされていました。7時20分には宇都宮章吾さん(3個の彗星発見者)からも眼視観測データが届いていました。さらにその後、大島雄二さんからも4個の精密位置測定データが届いており、芸西天文台の関勉さんからも観測の様子が届いていました。これら以外にも10件を超えるメールが届いており、中には、「急遽有給休暇をとって測定している」というメールまであり、興奮の様子が伝わってきました。
この"お祭り騒ぎ"の中、私は何をやっていたかと言うと、メール遮断してくすぶっていました。公私ともにあまりにも忙しく気が狂いそうになってきたので3日間くらいメールを開いていなかったんです。
私がくすぶっているうちにこんなお祭り騒ぎになっているなんて....。
もう、ひきこもりたい気分です。
せめて一枚だけでも撮像しておきたいと思っているのですが、曇ったり雨が降ったりとぜんぜん縁がありません。
この彗星は短周期彗星の可能性が指摘されています。もしそうだとすると、これまで暗くて観測できなかったものが、突然、彗星核にひびでも入って内容物が噴出して明るくなっている可能性があります。
下の画像はその池谷・村上彗星です。関勉さんが芸西天文台で撮像されたものです。画像処理は私がやりました。右上(西北西)に向けて白く細い尾が延びています。それを囲うように白く太い尾(コマ?)があります。さらに二倍ほど広い範囲に薄緑色のコマが広がっているのがわかります。
2007年10月から12月にかけて突然大きく明るくなったホームズ彗星にそっくりですね。
![[池谷・村上彗星の画像]](http://www.comet-web.net/mira/Photo/Comet/C2010V1_D20101105.jpg)
C/2010 V1 (Ikeya-Murakami)
池谷・村上彗星
芸西天文台・関勉氏撮影
池谷・関彗星や池谷・チャン彗星の発見者として知られる静岡県の池谷薫さんと、シュナイダー・村上彗星の発見者として知られる新潟県の村上茂樹さんが、明け方の東の低空に8等前後の彗星を眼視捜索で発見したというものです。池谷さんが発見したのは11月3日の明け方で、村上さんが発見したのは11月4日の明け方でした。この時点では池谷さんがすでに発見していたことは村上さんにはとうぜん知らされておらず、国際天文電報中央局の関係者のみが知っていました。直ちにほんの少数の信頼されている観測者に確認観測の依頼がされたようです。
11月5日、何通かの見慣れない彗星名のタイトルがついたメールが届いていました。5時57分に佐藤裕久さんから「C/2010 V1 (Ikeya-Murakami)」というタイトルのメールがあり、門田健一さんが観測したデータを加えて軌道計算したデータが送られてきていました。なんじゃその彗星名は?ミスタイプかななんて思っていたんですが、どうもメールが騒がしい....。6時35分には高橋俊幸さんから「池谷-村上彗星(C/2010 V1)の観測です。 D95」というメールが届き、精密位置測定のデータが3観測届いていました。その直後には張替憲さんからも「2010 V1 池谷・村上彗星」というタイトルで観測のコメントが届き、張替さんのブログに2010年11月5日付ですでに撮像した画像が掲載されていました。6時53分には再び佐藤裕久さんが眼視観測したデータが届いており、コマ視直径が3.5'で光度が8.2等とその他詳細なデータが知らされていました。7時20分には宇都宮章吾さん(3個の彗星発見者)からも眼視観測データが届いていました。さらにその後、大島雄二さんからも4個の精密位置測定データが届いており、芸西天文台の関勉さんからも観測の様子が届いていました。これら以外にも10件を超えるメールが届いており、中には、「急遽有給休暇をとって測定している」というメールまであり、興奮の様子が伝わってきました。
この"お祭り騒ぎ"の中、私は何をやっていたかと言うと、メール遮断してくすぶっていました。公私ともにあまりにも忙しく気が狂いそうになってきたので3日間くらいメールを開いていなかったんです。
私がくすぶっているうちにこんなお祭り騒ぎになっているなんて....。
もう、ひきこもりたい気分です。
せめて一枚だけでも撮像しておきたいと思っているのですが、曇ったり雨が降ったりとぜんぜん縁がありません。
この彗星は短周期彗星の可能性が指摘されています。もしそうだとすると、これまで暗くて観測できなかったものが、突然、彗星核にひびでも入って内容物が噴出して明るくなっている可能性があります。
下の画像はその池谷・村上彗星です。関勉さんが芸西天文台で撮像されたものです。画像処理は私がやりました。右上(西北西)に向けて白く細い尾が延びています。それを囲うように白く太い尾(コマ?)があります。さらに二倍ほど広い範囲に薄緑色のコマが広がっているのがわかります。
2007年10月から12月にかけて突然大きく明るくなったホームズ彗星にそっくりですね。
![[池谷・村上彗星の画像]](http://www.comet-web.net/mira/Photo/Comet/C2010V1_D20101105.jpg)
C/2010 V1 (Ikeya-Murakami)
池谷・村上彗星
芸西天文台・関勉氏撮影
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