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芸西天文台60cm反射望遠鏡の最後の一般公開の様子

 2007年12月22日(土曜日)16時から、芸西天文台の60cm反射望遠鏡による最後の一般公開『さよなら60cm反射望遠鏡』が行われました。ただ、残念だったのは天気が悪かったことです。ちょうど火星が最接近しているときでもあるし、月も半月ころでクレータが良い具合に観望できると期待していたのですが....。

まず、高知文教協会の石田理事長のご挨拶。

年4回ある各季節の長時間の一般公開や特別公開には、すべての講師と文教協会の理事長や担当職員の方が来られます。

 次に今日の主任講師の松木講師が進行の説明など。

 松木講師の頭の中は、天気が悪く天体観測が期待できないので、夜の部はどうしようかと考え中のはず。と言っても天気の悪い日は頻繁にあるので、ネタに困るはずは無く、どのネタを持ち出そうかと考え中なのでしょう。

 この時間まだ少し空席がありますが、この後ゾロゾロと集まり、満杯状態になりました。天気が悪いのに来て下さった皆様ありがとうございます。

 岡村講師は一番の年長者で、天文歴も1世紀におよび....、いやそんなには無いですが生き証人です。

 いつも「わしゃあ、もういかん....」っていつも人生の終わりかのようなことを言われます(笑)。「もう、車の運転もやめた」って言ってたのに、今日も、前回も、その前も元気に運転してこられています。
 「もういかん」って言いながら、大きな反射鏡を磨いて望遠鏡を作っているらしいし。ハーシェルの望遠鏡の模型も製作するし。土佐の歴学者の研究などもされるし。私なんかよりもはるかに活動されています。

 芸西に60cm反射望遠鏡がやって来ることが決まったときに、五藤光学にその望遠鏡を見に行き、その大きさと鏡の精度の良さに驚いたというお話がありました。

 手にされているのは現在の東亜天文学会(当時は同好会)が発足して最初に発行した会報「天界」です。私が調べたところ、1920年(大正9年)の発行のようです。


 望遠鏡のお話を少し....。

 手にしているニュートン反射望遠鏡は大人の科学の「ニュートンの反射望遠鏡」だと思います。

 岡村講師がいきなり、大庭講師を助手に指名して銀メッキ教室を始めました(笑)。今日この場で反射鏡を作ってしまおうと密かに企画していたようです。
 ここで作った反射鏡をハーシェルの模型に装備すれば模型に魂がはいるというわけです。

 そのハーシェルの望遠鏡の模型。
 これ、岡村講師の手作りです!人形もちゃんと付けていてそのまま科学館にも展示できそうです。

 私は、銀メッキがそんなに気軽にできるんだろうか?本当に大丈夫なんだろうか恐々見ていたのですが、先生は平気な顔でいろんな薬品を取り出しながら、助手に指示しています。自分でやらない理由はちょっと腕が痛いからとのことでした。
 ビーカーに硝酸銀を入れて、それにブドウ糖かなにかを投入したところでしょうか?
 もっとかきまぜろと指示しています。

 小さな容器を取り出して、「これが、たぶんアンモニアだと思うんですが....。ちょっと匂いを嗅いでみて」と大庭講師に差し出してます(笑)。危ないなあ(笑)。まあ、大庭講師は化学の先生だそうでそこらへんは慣れた所。「はい。確かにアンモニアです」って答えてます。私だったら匂いではわかりません。

 黒くなった硝酸銀にスポイドで少しずつアンモニアを加えていきます。

 生徒さんにも体験してもらいます。

「もっともっと、じゃんじゃん入れで大丈夫」。
「もっと、もっと。透明になるまで入れて」
「..........。」
「う〜〜ん、もうそろそろ」

 透明になったところで、小さなビンの容器に透明の液体を入れてなにやら大事そうに振ってます。
 ビーカーに残った液体には凹レンズ(鏡)をポッチャンと投げ込んで様子を見ています。

岡村講師 「鏡になってますかねえ?」
大庭講師 「う〜〜ん、まだ.....」
岡村講師 (ウィスキーのボトルを持ち上げて)「これに雨水を溜めたんですが、隣の家からしずくが飛んできて入るんですよね〜」
 (なぜウィスキーのボトルがあるのかと思ったら、これに水が入ってたんですね。水道水だと塩素が入ってるのでダメなのか?)
 「不純物がいっぱい入ってますからねえ〜〜」
 「まあ、大丈夫」
 「多少いろんなものが入っても綺麗に銀はくっつきます」
 一同大笑い。

 間が持たなくなると、なにかかなりいい加減なことを言って会場を笑わせています。
 (こんなにお笑いのセンスがある方とは思っていませんでした)
 退屈することも無く15分くらい経過したでしょうか。ビーカーの中に輝くものが見えてきました。そして、岡村講師がお腹の中で暖めながら振っていたビンも銀色になってきました。
 用済みの液体と器具は水の入った容器に入れて洗います。放っておくと化合物が爆発するようで、乾燥する前に水洗いしないといけないのだとか。

 ついに銀メッキ鏡が完了しました。
 そしてビンも美しくメッキできました。そのビンは手伝ってくれた生徒さんにプレゼントされました。

 かなりいい加減な(と思われる)やり方だったのにみごとメッキが成功し、反射鏡ができました。

 まだ触るとメッキがはがれるとのこと。
 これが定着したら、綺麗に表面を磨くのだそうです。
 そしたら反射鏡の完成です。

 こんなに簡単に銀メッキってできるんですね。私もやってみようかな。

 次は川添講師の「ハレー彗星」のころのお話です。
 今までにずいぶんたくさん海外に天文現象を見に行ったそうで、世界中でめずらしい写真を撮ってきています。よく地元の高知新聞に掲載されたりして大変有名な人です。

 北欧に行ったときのオーロラの写真などは有名ですが、今夜はハレー彗星をオーストラリアだったかに見に行ったときのエピソードをお話してくれました。
 予定の空港に降りられなくて、空軍の飛行場で例外的におろしてもらってみんなでハレー彗星を観望したのだとか。そのときに空港の電気を消してくれたそうです。軍事施設なのに。粋な計らいですねえ。
 そのほか「むちゃするねえ〜」と言いたくなるようなお話もたくさん。じつに活動的な人です。

 部屋の電気を消して大型のスクリーンにパソコンの画像を投影しています。

 

 芸西で撮影したハレー彗星の尾の部分にコブができています。この画像が後に彗星の科学的解明に重要な役割を果たし、国際的に評価されたことが紹介されました。

 画像は記念に作成したテレホンカードです。

 この時間になっても関勉講師は現れず.....。
 実は体調をくずして今夜はお休みでした。そういえば20日の一般公開の日も声がいつもと違っていて、具合が悪そうでした。20日は2人の講師しか予定されてなかったので無理をされてたんですね(私は予定外で参加しましたが、非力ですし)。私も早くしゃべれるようにならないと。

 ここで2班に分かれて、望遠鏡の見学と、学習館でのお話を交互に行うことになりました。

 雲が多く、観測できそうにないので望遠鏡を観望します。
 

 いつもはこんなことをしないのですが、特別に制御卓を操作してもらいます。

 女子高生にコントローラを渡して望遠鏡を左右(赤経方向)にウィ〜〜〜〜ン、ウィ〜〜〜〜〜ンと動かしてもらいます。
 上下(赤緯方向)はコントローラが壊れているので動かないんです。観測者がぶら下がって自分の体重で動かさないといけません。それもやってもらいましたが、非力な女子高生の力では動きませんでした(笑)。

 こんなことはいつもはできません。

 いちおうドームを開けて火星に向けているのですが、雲はなかなかどいてくれません。
 しかたないので、60cmの鏡を観望してもらいます。

 自分の顔が映っているでしょう。

 女子高生たちも脚立に昇って.....。
 「あそこに綺麗な鏡が見えるでしょう〜」
 「どれどれ」
 「うわ〜〜、綺麗っ」
 すかさず、どこからか「誰がっ?」というツッコミが(笑)。

 望遠鏡の観望を終えると学習館にもどって、入れ替わりに聴講。

 山口講師がUFOと宇宙人の存在について解説をされました。
 ちょうどUFOの存在について政府の公式見解が発表されたばかりで、しかもそれに反する個人的見解を某政治家が発表するなどホットな話題です。

 山口講師は学者(名誉教授)なので、解説も客観的です。
 では、宇宙人はいるのかいないのか。UFOは地球に来ているのか来てないのか。どのような解説をしたのかは聞いた人のみ知るところです(笑)。

 最後は軌道計算で活躍している「天文古書評論家」の村岡健治講師です。
 突然の代役で資料も無いのに、10月に大爆発したホームズ彗星の発見当初からこれまでの光度変化を丸暗記で説明されました。これにはびっくり。本気で研究されていると言うことでしょうか。学生さんたちにはちょっと難しかったというか、なじみの無い単語が多かったと思いますが、なじみの無い言葉だからこそ興味を持ってくれるかもしれません。


 芸西天文台の一般公開はこれでしばらくお休みに入り、2008年4月いっぱいまで、一回り大きな70cm反射望遠鏡を設置する工事を行います。4月下旬には講師陣がコンピュータの使い方や望遠鏡の扱い方などの講習を受けるのでしょうか。5月には高知県教育委員会に引き渡されます。
 その後早い時期に一般公開されると思います。今度の望遠鏡は経緯台でナスミス焦点が付いているので、大きな脚立に昇らなくても立ったままで楽に見られます。小さなお子さんなども無理に背伸びしなくてもしっかり眺めることができます。
 また、高性能なコンピュータと冷却CCDカメラが新たに導入されるので、これまでは困難だった極めて暗い天体の観測ができるようになります。またカラーのデジカメも導入されるので美しい星雲の撮像なども可能です。
 今度の70cm望遠鏡はけっして観測者だけに適したものではなく、一般の来場者にとっても適したものです。これまで以上に天文の普及に役に立つはずですので、われわれ講師陣も楽しみに待っているところです。


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