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73P/Schwassmann-Wachmann 3

2006年10月21日

 塩塚高原展望台で観測を行った。
 7月23日には立派な尾があったが、現在は16.2等(核光度)とかなり暗くなってしまった。北に向かって小さな尾があるようにも見える。写らなくなるまで継続観測したい。
 今回は移動観測フォーマットで小惑星センターに報告した。
0073P      c  V2006 10 21.55111 00 41 18.26 -14 49 59.5          16.2 N      247
0073P      c  v2006 10 21.55111 1 133.6877   +33.9230     970                247

2006年07月28日

 遠ざかりつつある73Pをほぼ3ヶ月ぶりに撮影した。もう尾は写らないだろうと思っていたが、C核もB核も西(右)方向に尾があり、彗星らしい姿を維持している。
 C核は13.0等で立派な彗星状。
 B核は15.8等とずいぶん暗くなったが、良く見ると細いながらも画面からはみ出そうな細い尾が西に流れている。
 G核は画像を丁寧に調べたが確認できなかった。

 B核は軌道計算が難しくなってきた。非重力効果を入れてもMarsden Type IIではかなり残差が出るし、薮下理論でもやはり同じ、A3項を考慮してもやはり残差が残る。分裂による噴射効果が出ているのだろう。観測期間を区切って軌道要素を求めたほうが実用的かもしれない。次回帰の予想はかなり精度が悪くなるだろう。



2006年05月03日

 シュワスマン・ワハマン第3彗星が5年ぶりに帰ってきて、太陽へ最接近しようとしている。今回の回帰は地球との距離が0.08AU(太陽と地球の距離の8%の距離=1200万キロメートル)ほどで76年ぶりの大接近となる。
 この彗星は核(彗星本体のこと)が分裂し、その分裂した核がさらに分裂したり爆発したかのようにばらばらになったりして、管理が大変な状況になってきた。
 さて、5月2日夕方から3日明け方にかけて、黄砂のまったくない真冬のようなギラギラしたすばらしい星空だったはずであるが、なんと寝過ごしてしまい、明け方のほんの1時間ほどしか観測できなかった。

シュワスマン・ワハマン第3彗星のC核
 下の画像は現在一番明るいC核の移動の様子である。左上(北東)に向けて移動している。この間わずか3分。地球に非常に接近しているのでけっこう早く移動する。明るさは全光度で7.1等と測定した。

シュワスマン・ワハマン第3彗星のC核
2006年5月3日 3時56分23秒から3時59分44秒
4枚をアニメーション
1~3枚目は10秒露出、4枚目は30秒露出
20cm f/6.3シュミットカセグレン望遠鏡に冷却CCDカメラBT-10で撮像




シュワスマン・ワハマン第3彗星のG核
 下の画像はシュワスマン・ワハマン第3彗星から分裂した3番目に明るいG核の移動の様子である。左上(北東)に向けて移動している。この間わずか6分。
 明るさは14.5等と測定した。もっと長時間露出をかければきれいな画像が得られるが、寝過ごしたので時間がなかった(反省)。

シュワスマン・ワハマン第3彗星のG核
2006年5月3日 4時12分51秒から4時18分26秒
3枚をアニメーション
各30秒露出
20cm f/6.3シュミットカセグレン望遠鏡に冷却CCDカメラBT-10で撮像

シュワスマン・ワハマン第3彗星のB核(とAQ核?)
 下の画像はシュワスマン・ワハマン第3彗星から分裂した2番目に明るいB核の移動の様子である。左上(北東)に向けて移動している。この間わずか3分。
 明るさは全光度で9.3等と測定した。

シュワスマン・ワハマン第3彗星のB核
2006年5月3日 4時05分29秒から4時08分06秒
3枚をアニメーション
各20秒露出
20cm f/6.3シュミットカセグレン望遠鏡に冷却CCDカメラBT-10で撮像

 撮影しているときに尾の形が変だなあと思っていたのだが、帰ってきてから関勉さんのHP芸西天文台通信4月23日号で、2つに分裂していることが報じられていたことを思い出した。
 下の画像は2枚の画像を移動する彗星にあわせて重ねたものである。画像右下の2つの星は左右にずれているので恒星であることがわかる。しかし、B核の右下の尾の中にあるコブのようなものは全くずれていないので、彗星と共に移動している物体の可能性がある。これがAQ核なだろうか?核光度で13.8等程度である。

シュワスマン・ワハマン第3彗星のB核のクローズアップ


上記画像の濃淡を色で変化させたもの
0073P      b  C2006 05 02.79559 16 22 27.51 +36 31 24.0                      D70
0073P      b  C2006 05 02.79688 16 22 28.37 +36 31 27.5                      D70
0073P      b  C2006 05 02.79741 16 22 28.71 +36 31 29.1           9.3 T      D70
0073P      c  C2006 05 02.78921 17 09 02.33 +33 00 29.0                      D70
0073P      c  C2006 05 02.79088 17 09 03.73 +33 00 31.4                      D70
0073P      c  C2006 05 02.79166 17 09 04.38 +33 00 32.5           7.1 T      D70
0073P      g  C2006 05 02.80076 16 14 02.14 +37 00 46.7                      D70
0073P      g  C2006 05 02.80219 16 14 02.84 +37 00 50.9                      D70
0073P      g  C2006 05 02.80402 16 14 04.22 +37 00 57.0          14.5 T      D70
0073P      b  C2006 07 27.75385 02 25 20.99 -13 07 39.5                      D70
0073P      b  C2006 07 27.75508 02 25 21.05 -13 07 40.2                      D70
0073P      b  C2006 07 27.76172 02 25 21.15 -13 07 41.9          15.8 T      D70
0073P      c  C2006 07 27.74683 02 25 12.56 -12 24 06.0                      D70
0073P      c  C2006 07 27.74838 02 25 12.58 -12 24 06.3                      D70
0073P      c  C2006 07 27.75161 02 25 12.64 -12 24 06.9          13.0 T      D70


AQ核の可能性のある物体の位置(MPCには報告していない)
0073P     aq  C2006 05 02.79688 16 22 26.49 +36 31 03.0                      D70
0073P     aq  C2006 05 02.79741 16 22 26.80 +36 31 04.3          13.8 N      D70

 
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